原発不明がんの診断
●診断・治療のポイント
原発不明がんの診断・治療において重要とされているのは、下記の 3点です1)。これらの原則を念頭におき、臨床像や病理学的評価から、原発不明がん全体の 15〜 20%を占める、治癒可能な患者群、予後良好な患者群を確実に抽出することが重要とされています1)。

1)「日本臨床腫瘍学会編:原発不明がん診療ガイドライン, 改訂第2版, p.2-3, 2018, 南江堂」より許諾を得て転載
●初期に行うべき検査
原発不明がんが疑われる場合、まずは詳細な病歴聴取に加え、全身の身体所見が重要です2)。
通常、一般的な血液・生化学検査、胸部 X線撮影、全身 CTは全例に対して行い、これら以外の検査は、臨床所見に加え、病理結果に基づいて原発巣を予想しながら順番に実施します2)。なお、原発不明がんの診断において病理学的な評価は欠かせないものであり、十分な組織検体が得られていない場合には再生検も躊躇すべきでない、とされています。
これらの検査を行っても原発巣が特定されず不明の場合に、除外診断によって原発不明がんと診断されます。

2)「日本臨床腫瘍学会編:原発不明がん診療ガイドライン, 改訂第2版, p.3, 2018, 南江堂」より許諾を得て転載
●原発巣の探索・同定
「原発不明がん診療ガイドライン改訂第 2版(日本臨床腫瘍学会編」において、原発巣の検索に費やす期間は 1ヵ月以内とされており、それでも原発巣の同定ができない場合は、原発不明がんとして治療を開始することが推奨されています3)。なお、1〜 2週間の初期評価で原発巣が同定できない場合は、早期にがん専門施設へ紹介することが推奨されています3)。


- 3)「日本臨床腫瘍学会編:原発不明がん診療ガイドライン, 改訂第2版, p.29-30, 2018, 南江堂」より許諾を得て転載
- 4) Massard C, et al. Nat Rev Clin Oncol. 8: 701-710, 2011.
- 5) Greco AT & Hainsworth JD. Cancer of unknown primary site. DeVita, Hellman,
and Rosenberg’s Cancer; Principles and Practice of Oncology, 10th Ed, DeVita VT,
Lawrence TS, Rosenberg SA (eds), Lippincott-Raven, Philadelphia, p.1720-1737. 2014. - 6) Fizazi K, et al. Ann Oncol. 26(Supple 5): v133-v138. 2015.
- 7) Metastatic malignant disease of unknown primary origin in adults: diagnosis and management
(https://www.nice.org.uk/guidance/cg104) [最終アクセス 2018年5月1日] - 8) 「日本臨床腫瘍学会編:原発不明がん診療ガイドライン, 改訂第2版, p.viii, 2018, 南江堂」より許諾を得て転載
記事更新:2023年11月
動画更新:2023年12月