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押さえておきたい!がん臨床試験用語集 ◇第2弾:有効性評価に関連する用語、その他◇

臨床試験成績を読み解くうえで押さえておきたい用語として、第1弾は臨床試験の試験設定に関連する用語をご紹介いたしました。第2弾は、有効性評価に関連する用語および、その他臨床試験でよく目にする用語を横浜市立大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 主任教授 折舘 伸彦先生にご解説頂きました。

有効性評価に関連する用語、その他の用語 
※下記の用語をクリックいただくと該当箇所に移動します。

生存時間解析(survival analysis)

生存時間は、ある特定の時点(起算日)から各イベントが起きるまでの時間である。しかし、臨床試験に参加した患者全員が試験期間中にイベントを起こすとは限らず、あらかじめ設定した最大追跡期間の最終時点で観察を打ち切ることが一般的である。また、患者が同意撤回や転居などで追跡不能となり、最後に生存を確認した日以降、どうなったか不明となることがあるため、イベントの発生がないことを確認できた最終時点で、その患者についてのデータを打ち切る方法がとられる。これらを適切に考慮するための特別な統計手法(生存時間解析)が使われる。

生存曲線を推定するKaplan-Meier法、生存曲線の2群間の生存期間を比較するlog-rank検定、治療効果を評価するCox回帰モデル(Cox比例ハザードモデル)などが用いられる。

Kaplan-Meier法

全患者を観察期間の短いものから長いものの順に並び替え、各イベント(例えば、死亡)が起こるごとに生存率を再計算する方法。Kaplan-Meier法でプロットした生存曲線は、打ち切りを考慮したうえで各時点における累積生存割合を示している。

Kaplan-Meier法

生存期間中央値(Median Survival Time:MST)

Kaplan-Meier 法でプロットした生存曲線から求めることができ、生存率が50%(0.5)での生存期間のこと。

log-rank検定

2 群間の生存期間を比較する検定法。

log-rank 検定では、ある特定の時点における生存割合の差を比較するのではなく、生存曲線全体を比較し、P 値から両群の生存状況に差があるかを判断する。

log-rank検定

Cox回帰モデル(Cox比例ハザードモデル)

生存時間データを解析するための回帰モデルであり、各群の時間あたりのハザード比が時間とともに変化せず、常に一定であることを前提条件としている。

ハザードとハザード比(Hazard Ratio:HR)

ハザードは、ある瞬間にイベント(死亡、病勢進行、再発)が生じることであり、時間とともに変化する。

ハザード比は、2 群間のKaplan-Meier 曲線の差を要約する指標として用いられる。

ハザード比

ハザード比が1より大きい場合、被験薬群でイベントがより多く発生しやすいことを示すため、イベントが死亡であれば、被験薬群での生存率、生存期間は対照薬群より劣っている。一方、ハザード比が1より小さい場合、対照薬群でイベントがより多く発生しやすいことを示すため、被験薬群での生存 率、生存期間は対照薬群より優れているとなる。

オッズとオッズ比(Odds Ratio:OR)

オッズは、あるイベントが発生した人数を、イベントが発生しなかった人数で割ったもの。

オッズ

CRとPRの合計である奏効率にSD(安定)を加えた割合。通常、SDは奏効には該当しないが腫瘍を増大させていないという点で、効果を発揮しているという考えから評価項目として用いられる。

オッズ比

例)オッズ比が1より大きい場合、A薬の使用が奏効の有無の要因として考えられる。さらに、その信頼区間(CI)が1を挟まなければ、統計的に有意であることを示す。

オッズとオッズ比

腫瘍縮小効果判定規準:RECIST v1.11,2)

1) E.A. Eisenhauer, et al. New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline
(version 1.1). Eur J Cancer 2009; 45(2): 228-47

2) 固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST ガイドライン)改訂版version 1.1―日本語訳
JCOG 版. より引用、改変
JCOG ホームページ(http://www.jcog.jp/)

「固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン:RECIST 1.1 版」における効果判定手順は、次の5ステップで行う。

①治療開始前(ベースライン)評価として、すべての病変を「測定可能病変」と「測定不能病変」に分類する。

測定可能病変は、腫瘍病変の長径が10mm 以上、リンパ節病変の短径が15mm 以上である。

治療開始前(ベースライン)評価

②測定可能病変の中から「標的病変」を合計5個まで(1臓器2個まで)選択する。

標的病変として選択されなかった病変は、測定可能か否かを問わずすべて「非標的病変」とする。

③カテゴリーごとに判定基準に従って効果判定を行う注)

治療開始後の効果判定では、ベースラインで選択した「標的病変」、「非標的病変」、治療開始後に出現した「新病変」をそれぞれの判定基準に従って別々に評価する。

注)RECISTを用いて、効果判定を行う場合、詳細はRECISTガイドラインの定義を参照し評価をしてください。

標的病変の評価

標的病変の評価

非標的病変の評価

非標的病変の評価

新病変

標的病変、非標的病変の評価とは別に、新病変出現の有無を評価する。FDG-PETを用いる場合の新病変の評価は、以下のとおり。

  • ベースラインでPET陰性であったものが陽性となった場合はPD。
  • ベースラインでPETを行わず、その後のPETで陽性となった場合、PETで陽性とされた位置に一致する病変がCTで確認されればPD、CTで確認されなければPDとはせずCTを繰り返す。

④カテゴリーごとの効果を組み合わせて「総合効果」を判定する。

総合効果は「標的病変の効果」と「非標的病変の効果」に「新病変の有無」を加えた3つの要素の組み合わせにより判定する。

各時点での効果:標的病変(非標的病変の有無にかかわらず)を有する場合
各時点での効果:標的病変(非標的病変の有無にかかわらず)を有する場合

CR:完全奏効、PR:部分奏効、SD:安定、PD:進行、NE:評価不能

⑤最良総合効果(Best Overall Response:BOR)を判定する。

全治療経過(全コース)を通じて最もよい「総合効果」を「最良総合効果」とし、これを奏効率の算出に用いる。

<奏効率(Overall Response Rate:ORR)の算出方法>
奏効率(Overall Response Rate:ORR)の算出方法

データカットオフ

臨床試験などで目標症例数が予定数に達した時点で、症例登録を終了すること。

データロック

試験データベースへのさらなる変更を防止するためにとられる措置。データベースのロックは、データベースについて解析の準備が整ったと判断された後に実施される。

エビデンス(科学的根拠)

一般的には、ランダム化比較試験や、複数のランダム化比較試験の結果を統計学の手法を用いて統合したメタアナリシスなど、信頼性の高いデータから得られた根拠のことを指す。しかし、希少疾病や、重症例の場合は、ランダム化比較試験が実施できないこともあるため、その場合は、症例報告や専門医の意見などがエビデンスとして用いられることもある。

エビデンスレベルの分類の一例(頭頸部がん薬物療法ガイダンス 第2版より引用)
エビデンスレベルの分類の一例

上記のエビデンスレベルは、頭頸部がん薬物療法ガイダンス、頭頸部癌診療ガイドラインで引用されている。

システマティックレビュー

あるテーマに関して、あらかじめ定めた基準に従って論文を収集・吟味する研究手法で、テーマに関して明確にまとめられたレビュー(総説)。

本コンテンツは、以下の書籍などをもとに作成いたしました。

〈参考文献〉
  1. JCOG データセンター 訳: 米国SWOG に学ぶ がん臨床試験の実践 第2版, 医学書院, 2013.
  2. 日本臨床腫瘍学会 編: 新臨床腫瘍学 改訂第5版, 南江堂, 2018.
  3. 国立がん研究センター内科レジデント 編: がん診療レジデントマニュアル 第7版, 医学書院, 2016.
  4. 神田 善伸: みんなのEBM と臨床研究, 南江堂, 2016.
  5. 能登 洋: やさしいエビデンスの読み方・使い方, 南江堂, 2010.
  6. 佐藤 弘樹, 市川 度: 臨床家と統計家が2 人で書いた 生存時間解析がこれでわかる! 臨床統計まるごと図解,中山書店, 2013.
  7. Eisenhauer EA, et al. Eur J Cancer. 2009; 45: 228-47.
  8. 固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST ガイドライン) ー 改訂版 version 1.1 ー日本語訳JCOG版 ver.1.0
  9. 日本臨床腫瘍学会 編 : 頭頸部がん薬物療法ガイダンス 第2 版, 金原出版, 2018
  10. 日本医療機能評価機構 Minds ガイドラインライブラリ(https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/kounyo/evidence.html)

2021年6月作成